育休中にスキルアップを考える人は増えていますが、現実的に取り組めるのか悩む方も多いのではないでしょうか。
育休中に勉強する割合はどの程度なのか、育休中にベースアップは可能なのかという疑問はよく聞かれます。
また、振り返ったときにやっておけばよかったことや、取ってよかった資格についても知りたい人は少なくありません。
さらに、補助金の出る資格や子育てしながら取れる資格、家で学べるおすすめスキルも関心の高いテーマです。
一方で、勉強できない無理と感じてしまう瞬間もあり、勉強の時間を確保するにはどうすればよいのかという課題もあります。
この記事では、こうした悩みに答えながら、育休中 スキルアップを実現するための具体的なヒントを紹介します。
この記事で分かること
育休中にスキルアップすることの重要性と考え方
この章で解説する内容
育休中に勉強する割合は？
育休中に学習へ取り組む人の割合は、複数の調査によると全体の3割から4割程度とされています
（出典：総務省統計局『社会生活基本調査』 ）
数値上は少数派に見えますが、キャリアの再構築や職場復帰後の活躍を意識している層ほど積極的に取り組む傾向が見られます。
勉強時間に関しては、1日あたり30分から1時間程度が最も多く、長時間を確保するよりも短時間を積み重ねるスタイルが中心です。
特に子どもの昼寝や夜の就寝後といった隙間時間を活用するケースが一般的です。厚生労働省の調査でも、育児期の学習時間は「細切れで確保する」人が過半数を占めていることが報告されています。
こうした現状を踏まえると、まとまった時間を確保するのではなく、10分や15分単位で集中できる学び方を選ぶことが現実的であり、学習を長続きさせる鍵となります。
また、動画教材や音声学習など、短時間でも効率的に知識を得られるツールを取り入れることで、学びの質を高めやすくなります。
勉強できない・無理だと感じる時の対処法
子育てと家事の両立に追われて「勉強できない、無理」と感じる瞬間は多くの人に訪れます。特に育児の初期段階は生活リズムが安定しにくく、自分の時間を確保できないことから焦燥感につながりやすいものです。
まず取り組むべきは、自分が「何をどの程度学びたいのか」を明確にすることです。大きすぎる目標は挫折の原因になりやすいため、まずは小さな学習テーマを区切って取り組むのが効果的です。
例えば「今日は英単語を10個覚える」「動画講座を5分だけ視聴する」といった具体的で達成可能な目標設定が役立ちます。
さらに、スマートフォンアプリやオンライン教材を活用することで、数分単位で進められる学習が可能になります。紙の教材では準備や片付けに時間がかかりますが、アプリなら思い立ったときにすぐ学べるため、勉強を日常に組み込みやすくなります。
心身の負担を減らす工夫も大切です。睡眠不足の状態で無理に学習を進めると効率が落ち、かえって「無理だ」と感じやすくなります。
体調や気分に合わせて、学習を休む勇気を持つことも継続の一部と考えられます。
勉強の時間を確保するには
育休中に学習の時間を確保するためには、日々の生活動線を見直し、スケジュールを最適化する工夫が必要です。
子どもが昼寝する時間帯や夜の就寝後は、集中できる貴重な時間帯であるため、あらかじめ学習予定を組み込むと効率が高まります。
時間確保の具体的な方法
- 家事を家電に任せて学習時間を生み出す
食洗機やロボット掃除機といった家電を導入することで、1日あたり30分以上の時間を節約できる場合があります。 - パートナーや家族に協力を依頼する
数十分でも子どもの世話を任せられると、集中して学習できる環境が整います。家族内で「学習タイム」を共有するルールをつくるのも効果的です。 - 学習を細切れ時間に分割して進める
移動や待ち時間に音声教材を聴いたり、子どもの遊び時間に短い講義動画を視聴するなど、分散学習を意識することで学びが積み上がります。
また、時間管理の工夫として「ポモドーロ・テクニック」を取り入れるのも有効です。これは25分集中、5分休憩を繰り返す方法で、集中力を維持しやすいとされています。
たとえ短時間しか時間を確保できなくても、学習効率を高めることで、限られた時間を有効に活用できるようになります。
家で学べるおすすめスキル
在宅で学べるスキルには、将来的に仕事へ直結するものが多くあります。特に以下の分野は人気が高く、需要も拡大しています。
- ITスキル（プログラミング・データ分析）
PythonやExcel VBAなどは、企業のDX推進に伴い活用の場が広がっています。基礎から学べるオンライン講座が多数提供されているため、初心者でも始めやすい分野です。 - 語学スキル（英語・中国語など）
国際的なビジネスシーンで役立つだけでなく、昇進条件として一定のスコアを求める企業も増えています。TOEICやHSKなどの試験対策と並行して学習することで、モチベーションを維持できます。 - ライティング・Webマーケティング
在宅ワークや副業の入り口として人気の高いスキルです。文章作成やSEO、SNS運用などは小さな案件から実務に結びつけやすく、実践を通じてスキルを磨けます。
これらのスキルはすべてオンライン教材で学ぶことができるため、外出が難しい育休中でも取り組みやすい点が大きなメリットです。
また、成長市場に直結するため、復職後のキャリア形成や転職活動に活かしやすいという強みもあります。
子育てしながら取れる資格
子育て中でも挑戦しやすい資格は、在宅で学習から受験まで完結できるものや、短期間で修了できるものが中心です。以下は特に人気のある資格の一例です。
- MOS（マイクロソフトオフィススペシャリスト）
WordやExcelなどの操作スキルを証明できる資格で、事務職を中心に幅広い業界で評価されます。オンライン試験にも対応しています。 - 簿記検定
経理や会計の基礎知識を学べる資格で、在宅ワークや企業のバックオフィス業務に活かせます。テキストと模擬試験が充実しており、独学もしやすい点が特徴です。 - TOEIC
英語力を客観的に示せる資格試験で、昇進や転職に有利に働く場合があります。通信講座を活用すれば、自宅学習中心でもスコアアップが目指せます。
近年では通信講座やオンライン受験の仕組みが整い、外出が難しい状況でも挑戦しやすくなっています。
これらの資格は復職後のキャリア形成や再就職活動で高く評価される可能性が高いため、育休中に取り組む資格として実用性の高い選択肢と言えます。
育休中 スキルアップに役立つ方法
この章で解説する内容
取ってよかった資格は？
育休中に取得してよかった資格として多くの人が挙げるのは、復職後に即戦力となりやすい実務系の資格です。
特に簿記やMOS（マイクロソフトオフィススペシャリスト）は、事務系職種や管理部門への復帰を目指す人に支持されています。
簿記は企業会計や財務の基礎知識を証明でき、経理だけでなく営業や総務の分野でも役立ちます。MOSはWordやExcelのスキルを客観的に示せるため、実務で即活かせる点が評価されています。
また、語学力を客観的に示せるTOEICスコアも人気があります。
グローバル化の進展により、一定のスコアを昇進条件に設定している企業もあり、キャリアの幅を広げるきっかけとなりやすい資格の一つです。独学に加え、オンライン講座や模擬試験アプリが充実しているため、育休中でも隙間時間を活用して取り組みやすい点も魅力です。
資格を選ぶ際には、目的を明確にすることが大切です。復職後にどのような業務で活用するのか、または転職や副業を視野に入れるのかによって、優先すべき資格は変わります
。目的を意識することで学習のモチベーションが維持しやすくなり、資格取得が単なる自己満足に終わらず、キャリア形成に直結する価値あるものとなります。
補助金の出る資格を活用する
資格取得にかかる費用を抑える方法として、国の教育訓練給付制度を利用する方法があります。
これは厚生労働省が実施している公的制度で、一定の条件を満たす雇用保険の被保険者が対象となり、受講費用の20％から最大70％が支給される仕組みです
以下は代表的な対象講座の一例です。
| 分野 | 講座例 | 支給割合 |
|---|---|---|
| IT・デジタル | プログラミング、データ分析 | 20～70％ |
| ビジネス | 簿記、FP、MOS | 20～70％ |
| 語学 | 英語、中国語 | 20％ |
この制度を活用すれば、実際にかかる受講費用を大幅に軽減できます。
例えば、10万円の講座であれば、2万円から最大7万円が給付される可能性があり、自己負担は数万円程度に抑えられます。
経済的な負担を減らしつつ、キャリアに直結する実用的なスキルを身につけられるため、育休中のスキルアップにおいて非常に有効な手段と言えます。
育休中にベースアップは可能？
育休中にベースアップ、つまり給与が上がるかという疑問を持つ人は少なくありません。現状では、休業中に直接的に給与が上がるケースはほとんどありません。
ただし、育休期間を学習や資格取得に充てることで、復職後に昇進や昇給の機会を広げられる可能性は十分にあります。
特にITスキルや語学スキルのように需要が高く、市場価値の高い分野を習得すれば、社内評価の向上や異動・昇格のチャンスが広がります。
さらに、転職市場でも即戦力として評価されやすく、結果的に給与水準を引き上げる可能性が高まります。
したがって、育休中に期待すべきは「すぐに給与が上がること」ではなく、「将来の収入やキャリアアップの土台を築くこと」です。
長期的な視点でスキル投資を行うことで、復職後のキャリア形成を有利に進めることができると考えられます。
やっておけばよかったことは？
育休を終えた後に振り返って「やっておけばよかった」と感じることとして多く挙げられるのは、基礎的なスキルの習得や情報収集です。復帰後は日々の業務に追われ、新しい学習に割ける時間や余裕が減ってしまうため、事前に準備しておくかどうかが大きな差になります。
例えば、パソコンスキルの強化は代表的なものです。Excelの関数やデータ整理の方法、Wordの効率的な操作など、基本的なスキルでも復職後すぐに役立ちます。
また、業界の最新動向を調べておくことも重要です。人材不足が続くIT分野やDX（デジタルトランスフォーメーション）の潮流など、自分の業界の変化を把握しておけば、復職後にスムーズに業務に対応できます。
さらに、育休中はネットワークを広げる機会としても活用できます。オンラインセミナーや勉強会に参加し、同じ立場の人や専門家から情報を得ることで、復職に向けた心構えや具体的な準備が整いやすくなります。
日々の隙間時間を有効に活用し、小さな学習や情報収集を積み重ねておくことが、将来的に大きな成果につながります。
育休中にスキルアップするためのポイントまとめ
今回の記事のポイントを以下にまとめました。
慣れない子育てで「そんな余裕はないよー」と思う方も多いかもしれませんが、子育て以外のことをすることが気分転換になることもあります。
仕事復帰への不安を払拭するためにも、自分に自信をつけることにも繋がるかもしれません。難しく考えすぎず、前向きな気持ちで検討してしてみてくださいね。
