子どもが突然熱を出したとき、保護者として頼りになる制度が「子の看護休暇」です。
しかし実際に制度を調べてみると、「子の看護休暇も無給なら意味ない」と感じてしまう人も少なくありません。
多くの企業では無給であることが現状で、有給と無給の割合は職場や契約内容によって異なります。そのため、「欠勤扱いになる?」「無給の休暇は意味ないのでは?」といった不安を抱える保護者も多いようです。
一方で、制度の背景や活用方法を知ることで、見え方が変わることもあります。
子の看護休暇には、たとえ無給であっても法律で守られた取得の権利があり、活用の仕方によっては大きなメリットもあります。とはいえ、「ずるいという周囲からの声」や「拒否され時の対処法」など、職場での対応に悩むケースも見受けられます。
また、申請時には証明書類や申請方法の確認が必要であり、制度を正しく理解することが大切です。
比較的とりやすい職業がある一方で、職場環境によっては取得しにくい場合もあるため、企業側の助成金制度やサポート体制の整備が求められています。
有給休暇を優先させるのか、子の看護休暇を活用するかの判断や、2025年に向けた制度の動向も注目されています。
この記事では、子の看護休暇の基本から最新の情報までをわかりやすく解説し、うまく活用するにはどうすればよいのか、もっと利用しやすくするためのヒントをお届けします。

記事のポイント
無給だから意味ない?子の看護休暇の現実
無給と有給の割合はどうなっている?

子の看護休暇において、無給と有給の割合はどのようになっているのでしょうか。これは働く親にとって非常に重要なポイントです。
実際には、多くの企業が「無給」での取得を原則としています。法律上、子の看護休暇は年5日(子が2人以上いれば年10日)まで取得できる制度ですが、労働基準法上は「有給にしなければならない」とまでは定められていません。このため、企業が無給と定めていても法的には問題がないのです。
ただし、企業によっては福利厚生の一環として、一定日数を有給扱いにしている場合もあります。例えば、「最初の2日間は有給、3日目以降は無給」とするケースや、有休から優先的に消化する制度を導入している企業もあります。
このように、有給・無給の取り扱いは会社ごとに大きく異なるため、自分の勤務先の就業規則や人事担当者に確認することが大切です。なお、最近では有給化を促進する動きもあり、企業の対応も少しずつ変わりつつあります。
欠勤扱いになる?労働条件の実態

子の看護休暇を取得した場合、それが欠勤扱いになるかどうかは、多くの労働者にとって不安な点です。
原則として、子の看護休暇は法律で認められた「休暇」であるため、欠勤扱いにはなりません。ただし、ここで注意が必要なのは「賃金の支払い義務があるかどうか」は別問題だということです。制度自体は労働基準法第39条の有給休暇とは異なり、あくまで「取得できる権利」が定められているにすぎません。そのため、会社が無給と定めていれば、休暇は取れても給与は発生しないという状況になります。
一方で、実際の運用においては、子の看護休暇を申請しづらい雰囲気がある職場も存在します。取得すれば同僚の負担が増える、管理職の理解が得られない、といったケースでは、欠勤と同じような扱いを受けたと感じる人も少なくありません。
こうした課題を踏まえ、国は企業に対してガイドラインの整備や、制度の周知・啓発を進めています。職場での理解を広げるためにも、自分の権利をきちんと知った上で、必要な時には正当に取得する姿勢が重要です。
無給の休暇は本当に意味がないのか

「無給なら意味がない」と考えてしまう人も多いですが、果たして本当にそうなのでしょうか。
確かに、収入が減ることは家計にとって痛手です。しかし、子の看護休暇の本質的な価値は、収入ではなく「親としての時間を確保できること」にあります。子どもが急に熱を出したり、病気になったときに、無理に仕事を続けてしまえば、子どもの体調が悪化するだけでなく、自分の精神的な負担も大きくなります。
このように考えると、たとえ無給であっても、安心して休める法的な制度があること自体が、大きな意味を持つのです。さらに、最近では育児支援に力を入れる企業が増えており、「子の看護休暇取得率」を人事評価の一部に取り入れるなど、積極的な取り組みも見られます。
無給=意味がない、と捉えるのではなく、制度の存在そのものが家庭と仕事を両立する上での「支え」になっていることを再認識する必要があります。
「ずるい」という声はどこから来るのか

子の看護休暇を取得する人に対して、「ずるい」と感じる声が一部で存在します。この感情の根本には、職場内の不公平感や情報不足があります。
多くの場合、「自分は休めないのに、あの人だけ特別扱いされている」と感じたとき、人は不満を抱きやすくなります。特に、休暇を取る人が一定の頻度で抜ける状況が続くと、その分の業務が他の同僚に回ることが原因となり、不満が表に出やすくなるのです。
また、制度の内容が十分に社内で共有されていないことも一因です。子の看護休暇が法律で定められた権利であることを知らない人も多く、理解不足が「ずるい」という印象につながってしまうのです。
このような職場環境では、制度を利用しにくい雰囲気が形成されがちです。だからこそ、企業としては制度の周知と、公平な業務分担の見直しが必要です。個人としても、制度を利用する際には事前にチーム内での共有や引き継ぎを丁寧に行うことで、不満の声を抑える工夫ができます。
拒否された場合の正しい対処法

子の看護休暇を申請したにもかかわらず、会社から拒否された場合、どう対応すればよいのでしょうか。
まず、労働者には法律上の取得権があるため、会社が一方的に拒否することは原則として認められていません。育児・介護休業法第16条の2により、小学校就学前の子どもを看護するための休暇は、労働者が申し出れば取得可能とされています。
それにもかかわらず、会社が「忙しいからダメ」「代わりがいないから無理」といった理由で拒否する場合には、まず冷静に会社の就業規則や制度の運用方針を確認しましょう。その上で、直属の上司や人事部門に対して、制度に基づいた取得希望であることを丁寧に説明することが大切です。
もし、それでも不当に拒否されるようであれば、労働基準監督署や労働局に相談するという手段があります。特に、制度の利用を理由に不利益な取り扱いを受けた場合は、「マタハラ」「パタハラ」に該当する可能性もあるため、記録を残すことが重要です。
必要なのは、知識と準備、そして正当な権利を冷静に主張する姿勢です。感情的にならず、事実とルールを元に行動することが、円滑な解決につながります。
子の看護休暇 無給 意味ないはもう古い?活用のすすめ
助成金や企業支援制度の活用法

子の看護休暇を取りやすくするために活用できる助成金や支援制度については、まだ十分に知られていない部分があります。これらを理解し、適切に利用することで、企業側も従業員も双方にとってメリットのある運用が可能になります。
厚生労働省は「両立支援等助成金」の一環として、子の看護休暇の制度を整備し、従業員に周知・利用させた企業に対して支援金を交付する制度を実施しています。特に「出生時両立支援コース」や「育児休業等支援コース」など、企業の取り組みに応じて複数の支給枠があります。中には、中小企業を対象にした優遇措置も含まれており、人材確保や定着促進を目的とした支援がなされています。
これを活用するためには、企業側が制度を導入し、その利用実績を報告する必要があります。そのため、従業員が制度利用を申し出ることで、企業も助成金を受け取るチャンスが生まれ、双方にとってプラスの循環が作られます。
このような制度は申請方法や期限に一定のルールがあるため、会社の総務部や人事部門と事前に確認して進めることが大切です。制度の存在を知ることから始め、自分の会社でも適用できるか調べてみましょう。
有給休暇との優先順位の考え方

子の看護休暇と有給休暇の優先順位については、多くの人が混乱しがちなポイントです。どちらを先に取得すべきかという問題には、職場の方針と労働者本人の状況によって判断が分かれます。
基本的に、子の看護休暇は「年次有給休暇とは別枠」で取得できる休暇です。ただし、多くの企業では、無給であることから「有給休暇が残っていればそちらを先に使ってほしい」とする内規を設けている場合があります。その結果、実質的に子の看護休暇よりも有給休暇が優先されるケースも少なくありません。
一方で、年次有給休暇をできるだけ私的な事情に取っておきたいという人もいるでしょう。そうした場合、まずは子の看護休暇を無給でも取得し、年次有給休暇は別途確保しておくという考え方もあります。
このように、優先順位の取り扱いは制度だけでなく会社の運用ルールによっても左右されるため、事前に自社の就業規則や運用ポリシーを確認しておくことが重要です。場合によっては、個別に上司と相談しながら計画的に使い分けることが必要になるでしょう。
とりやすい職業とそうでない職場の違い

子の看護休暇を「取りやすい職業」と「取りにくい職場」には明確な違いがあります。それは、単に業種の性質だけでなく、企業文化や組織体制にも深く関わっています。
取りやすい職業の代表例としては、IT系や事務職など、リモートワークが可能な業種が挙げられます。こうした職場では、突発的な休暇にも対応しやすく、休んだ後も業務のフォローが比較的容易です。また、企業全体として育児支援に前向きな風土があることも、取得のしやすさに大きく影響します。
一方で、医療や接客、サービス業などの現場仕事では、人員の交代が難しく、休むことで業務に支障が出やすい環境です。このような職場では、制度はあっても取得しにくいと感じる人が多く、心理的なハードルも高くなります。
また、職場の人数や役職構成も大きな要因です。少人数のチームでは一人の欠勤が全体に及ぼす影響が大きくなりがちで、結果として「申し訳ない」という気持ちから休暇を躊躇するケースも見受けられます。
このように、制度があるかどうかだけでなく、職場の柔軟性や人間関係の風通しの良さも、取得のしやすさを大きく左右します。
証明書類の提出方法と注意点

子の看護休暇を取得する際には、証明書類の提出が求められることがあります。これは制度を適正に運用するための手続きの一環です。
提出が必要な主な書類としては、「子どもの通院記録」や「医師の診断書」「保育園の欠席連絡票」などがあります。会社によっては、これらのうちいずれかを求めるケースが多く、必ずしも医療機関発行の書類でなくても良い場合もあります。
注意すべきなのは、提出期限と提出先です。多くの企業では、休暇取得後○日以内に総務や人事に提出するよう定めています。期限を過ぎると、制度の適用外とされる恐れもあるため、書類の準備は迅速に行いましょう。
また、個人情報を含む書類であるため、保管や提出方法には十分な配慮が必要です。電子提出が認められている場合には、PDF化してメール送付する方法もありますが、原本提出を求められる企業もあるため、事前に確認が必要です。
これらのルールを把握しておくことで、余計なトラブルを防ぎ、スムーズに制度を利用することができます。
制度改正で2025年以降どう変わる?

2025年以降、子の看護休暇を取り巻く制度は徐々に変わりつつあります。主な背景には、少子化対策と仕事と育児の両立支援強化があります。
政府は2024年度の検討を踏まえ、2025年度からは「子の看護休暇の柔軟化」「有給化の推進」「テレワーク制度との連携強化」などを段階的に進める方針を打ち出しています。具体的には、取得可能日数の増加や、有給扱いとする企業へのインセンティブ強化、男性の取得促進に向けた施策が想定されています。
また、子どもの通院・看病だけでなく、「感染症での学級閉鎖」などにも対応できるよう対象範囲の拡大も議論されています。これにより、実際の育児の現場に即した制度運用が期待されます。
ただし、制度の具体的な変更内容や開始時期は今後の国会審議や政令改正に左右されるため、最新の情報を継続的にチェックしておく必要があります。
変化の時代に対応するためにも、柔軟な働き方と制度の使いこなしがより一層重要になっていくでしょう。
働きながら上手に使うコツと工夫

子の看護休暇は、ただ制度があるだけでは活用しきれません。実際に働きながら上手に使うには、いくつかの工夫が求められます。
まず大切なのは、事前の準備と職場とのコミュニケーションです。子どもの体調不良は突然起こるものですが、日頃から上司やチームに対して、「看護休暇を利用する可能性がある」という共有をしておくことで、いざというときの対応がスムーズになります。
また、業務のマニュアル化やタスクの整理も重要です。突発的に休んだ際、誰が何を引き継ぐかを決めておけば、周囲の負担も軽減されます。リモート勤務が可能な職場であれば、在宅で対応できる業務を予め選定しておくことも有効です。
さらに、自分自身のスケジュール管理やストレスマネジメントも大切です。看護休暇中は仕事と家庭の両方に気を配る必要があるため、心身のバランスを保つ工夫が求められます。
このように、制度を「知っている」だけでなく、「どう使うか」を考えることが、真に有効な活用につながります。職場環境や自身の働き方に合わせた柔軟な工夫が、看護と仕事の両立を支えてくれるのです。
まとめ:無給の子の看護休暇は意味ないと思う前に知っておくべき15のポイント

今回の記事のポイントを以下に簡潔にまとめました。うまく制度を活用して、育児と仕事を両立できるように、最新の制度改正や申請の仕方をしっかり勉強しておきたいですね。